【ヘルムート・ニュートンHelmut Newton】
  彼が切り裂いたものは、空間、時間、生命、感性、そして、性だった。彼の作品の一部は、十分にマニア性を意識したものである。その官能は見た瞬間ではなく、見たものを思い出そうとするときに起こる。
  妄想の原点。



【偏執狂】
  これが出て来なければ、官能小説であってもアブノーマル小説にはならない。小説に迫力を持たせたり、重みを持たせたいときには、これを登場させることだ。
  使用方法は意外なほどかんたんで興味に「しか」を付けるだけでいい。
「彼はスカートの中を見たいと思った」
  これは普通の男の心理描写である。

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「彼はスカートの中にしか興味を示さなかった」
  こう書き直すだけで物語りは迫力のあるものになる。

 偏執狂を、あえて変質狂と書き間違えてもいい。そのほうが物語りはより迫力のあるものになるのだ。

「彼は物心がついたときから、スカートの中にしか興味がなく。年頃になっても全裸の女の裸を想像するということをしなかった」
 読み手としてはこのほうが興味をそそられるのだ。

  間違いなのでどうでもいいのだが、偏執狂は成育過程において持ってしまった性癖で、変質狂は、生まれ持った異常性という意味として使用される。

 
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