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【ノイローゼneurose】
  生物は生存に有利な状態に自分を置くという本能を持っている。 生存本能さえガマンをする不可思議な生き物は人間だけなのだ。
  幼児のように抱擁されたまま、しかし、セックスもしたい、しかし、そんな欲望のあることは知られたくない。そうした矛盾した欲望ゆえに他人との接触で肉体が硬直してしまう女性がいる。
  ガマンが肉体にもたらした、そうした影響のすべてをノイローゼという。
  官能文学では、ゆえに、ガマンの度合いが強く、そして、それにおける肉体への悪影響が大きいほど、官能的になるのだ。ガマンのない文学、肉体への悪影響が表現されない文学、そうしたものは官能文学とはいえない。もっとも、そうしたものは高尚な文学ではあるかもしれない。

スペース




【脳】
  人間の中でもっともエッチなところ。次が口。脳と口は互いに協力しあって、どうにもならないようなエッチを空想世界から現実世界へと引っ張り出している。
  もし、脳と口の間に理性という番人がいなければ、人間は生きることよりエッチを優先してしまい、三日で絶滅する。
  人間以外の動物が理性もないのにエッチで絶滅しないのは、彼らには幸いなことに言葉がないからである。

 
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