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【オーガズムOrgasm】
 官能文学におけるオーガズムは理性の入り口である。
 人間の欲望はきりがないものが多い。食欲も性欲も睡眠欲もその欲望には歯止めがない。もし、満腹感がなければ人間はたいへんなことになるのだ。ドアから出られないほど太るのだ。
性欲も同じで、どこかに達成感を持たせないと、歯止めがきかなくなってしまう。そこで、人間は性欲に対しては、性的達成感をもつようにできているのだ。これによって理性が欲求を抑えるのだ。
オーガズムがないと、人間は性的な歯止めがなくなり、たいへんなことになる。興奮して全裸でドアから出てしまうのだ。
 私たちは、しばしば、下着泥棒の何千枚の下着コレクションをニュースで見る。もはやオナニーに必要な数は超越してしまっている。オーガズムがないからなのだ。その内には収納しきれなくなった使

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用済み下着がドアからあふれ出てしまうのだ。
  官能文学に「オチなし」の小説が出て来たのは、比較的新しい、オーガズムがないので、作者も読者も永遠と満足を得られない小説なのだ。
 オーガズムを作ることは官能小説家のたいせつな仕事なのである。そして、建物を造る人はドアを造ることがたいせつな仕事なのである。

【幼馴染み】
 性的タブーを共有した者たち。名前も顔も忘れてなお、その行為や部位だけを鮮明に思い出す相手。
「押入れの中でパンツを脱がせ、そこに懐中電灯の光をあてた。私は前にも小さな尻があると思った。今では、その相手が誰だったのか、どんな女の子だったのかも思い出せない。しかし、剃毛された女のアソコを見る度に、あの、小さな尻のような亀裂のことだけは、はっきりと頭に浮かんでくるのだ」

 
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