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鹿鳴館の歴史




創世記 その6


 筆者はとにかく退屈していた。現実の全てに飽き飽きとしていた。その頃、ロールプレイングゲームというものが流行の頂点にあった。ポケットモンスターが出たばかりの頃だった。ドラクエはいくつだったか、ファイナルファンタジーはいくつだったかは覚えてないが、とにかく流行っていた。その世界は全て空想なのにゲームをやるものたちをワクワクとさせていた。いい年齢の大人たちが剣と魔法に熱中していた。不思議だった。エロの世界では貴族夫人さえ受け入れられなくなっていたし、ペニスを見せさえすればやりたがる女がいるなどという設定でさえ拒まれた。剣と魔法でモンスターを倒すよりは現実的な話だと思うのだが、三文ポルノにあったエロのほとんどが否定され、ただ、ただ、陳腐な日記のような作品ばかりが受け入れられていった。
  エロ雑誌は告白と投稿写真で溢れた。
  ありもしない空想を語れるプロが嫌われ、赤裸々な告白をする素人ライターばかりが好まれた。
  そんな中で筆者はサイト鹿鳴館にありもしない館のストーリーを作った。遊びだった。サイト鹿鳴館を作った男を楽しませるだけの目的で作ったストーリーだった。どこにも発表する気などないところのものだった。筆者はそうした仲間内でしか楽しめない作品をいくつも書いてきたのだ。それは小学校の頃からの変わらない習慣だった。筆者は、何もお金になるから書いていたのではないのだ。お金にならないものもたくさん書いてきたのだ。
  その筆者の遊びをサイト鹿鳴館を作った男はたいそう喜んだ。子供のようにはしゃいだ。過激なヌードよりも、過激な緊縛ショーよりも、その男は筆者の遊びのストーリーを喜んだ。その彼の笑顔が筆者を狂わせたのだ。筆者は彼を喜ばせるために仕事をしたくなった。その瞬間、筆者にはこれまでの出版業界に対する義理も人間関係も忘れてしまったのだ。
  もう一度、空想の中にあるところのエロの世界で遊ぶことができるかもしれないと思ったのである。筆者はそこに期待し、それ以外の現実を捨ててしまうことになる。まるで階段を踏み外してころげ落ちる人のように、筆者は貧乏の中にころげ落ちて行く。一人の男の笑顔が原因だった。女ではなく、男の笑顔だった。
  さて、そうしてサイト鹿鳴館は筆者によって作り直されて行くことになるのだ。その後のことはあまり面白くないので省略し、次回は、サイト鹿鳴館というハリボテが倒れるときの話を書こうかと思う。
  と、いうことでとりあえず「創世記」はこれで終了しよう。次回は、また、いつか近いうちに。




 

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