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鹿鳴館の歴史




創世記 その1


 筆者はそのとき確かに退屈していた。
  好んで飛び込んだエロ業界であり、好んで作っていたマニア雑誌だった。しかし、筆者の人生は面白くなくなっていたのだ。筆者にとってエロとはファンタジーだった。大人のファンタジーだったのだ。ファンタジーだからといってウサギの執事やライオンの王様に出て来られても困る。ファンタジーとはいえ剣と冒険と指輪の物語でも困る。男がいて女がいて性のあるファンタジーでなければ困るのだ。
  しかし、エロ業界はファンタジーを捨ててしまった。
  そもそもエロ業界がどうしてファンタジーでなければならなかったというと、これは規制があったからなのだ。エロをそのままリアルに表現できなかったのだ。たとえば、レイプという物語をリアルな犯人の告白手記で書くことは許されなかったので、宇宙人が地球の女をレイプするというファンタジーでごまかしたのだ。ごまかしだったのだ。
  もちろん、若い筆者にとっては、そのごまかしの部分は余計なものだった。小説なら読み飛ばすような部分、ビデオなら早送りしていたような部分だった。ゆえに、筆者たちは規制が緩むとリアルなエロに走ったのだ。ポルノに対する規制が緩くなったので、筆者たちはエロのためのエロだけを作ればよくなったのである。もうファンタジーの仮面はいらなくなったのだ。それはその瞬間には喜びだった。確かに喜びだったのだ。
  ところが、ファンタジーを失ったエロは下品で無教養で羞恥のない下世話なものでしなかった。
  筆者はポルノの規制が緩くなることを望み、規制が緩くなったことを確かに喜んで、その上、そうした下品なエロでお金まで稼いでいて、その挙句にエロに退屈してしまうことになるのだった。勝手な退屈である。しかし、退屈だったのだ。
  その退屈しているところに現れたのがサイト鹿鳴館を作った男だったのである。


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