「そんなに大きいわけないよ。嘘だね。だいたい、そんなとこ見えるはずもないよ」
そんなことを言いなが、私は女の子について行った。公園の滑り台の上に二人で乗ると、公園に隣接した家の高窓らしいものが確かに見えた。滑り台の上からでなければ塀に阻まれて見えない窓だった。
公園はすでに暗くなっていて、塀の向こうの窓が、いっそう明るくはっきりと見ることができた。風呂場なのだ。しばらくすると、逞しい男が全裸で入って来る。
「ほら」
女の子が私に囁くように言った。股間に目をやると確かに大きかった。大きく、しかもそれは見事なまでに天を向いている。大人の股間を見たことがないはずもなかった。銭湯にはしばしば行っていた。しかし、そこで見たどのモノよりもそれは立派で恐怖さえ覚えるものだった。
「本当だ、言ってたの本当だった。本当に大きい」
私は興奮していた。女の子は私のモノと見比べたいと言ったので、私はなんだか興奮してしまって恥ずかしいとも何とも思わずに自分のパンツを下げてしまった。
「倍以上あるね」
女の子はそう言いながら私のモノを見つめた。
まだ、私が小学校三年生の記憶だった。ところが、それには矛盾があった。私は、その公園のことをはっきりと覚えているのだが、それは小学校四年で転向した後の地元の公園だった。しかも、私たちは塾の帰りにその公園に行ったのだが、私が塾に通うようになったのは小学校五年からだった。
一緒に行った女の子のことを勘違いしているのだろうと思うのだが、それにしては、誰と勘違いしているのかが思い出せないのだ。転向後の出来事なのだとすれば、相手の女の子は、まだ、近くにいるはずなのだから誰だったのか思い出せるはずなのだ。しかし、一緒に行った女の子には転向前の彼女しか心あたりがないのである。
また、記憶の中で私は女の子の前で半ズボンを脱ぐのだが、半ズボンは小学校三年までしかはいていない。
私は高校生になってから、その公園に行ってみたことがある。高校生が滑り台にのぼるのも気がひけたが、公園は相変わらず人気がなかったので、私は周囲を気にしながらそれにのぼった。私たちが見た窓があった。ただし、窓は閉まったままだし、電気もつかなかった。
しかし、そこに家があるということは、私は記憶にある彼女でない別の誰かとこの公園に来て、そして、その女の子の前でパンツを下げたのかもしれないのだ。いったい誰と来たのだろうか。
それとも、すべては夢だったのだろうか。
その公園は、今もあり、今なお、寂れている。
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